マインドフルネス・セラピー ぬくもり

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2022.12.23
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霧の榛名湖にて

 

11月の連休に娘と伊香保温泉に一泊してきました。

 

23日は朝から本降りの雨。娘は雨でも榛名湖に行ってみたいと言うので、それではと伊香保から榛名湖行きのバスに乗りました。乗客は私たちともう1人若い女性の3人のみ。

 

濃い霧も出ていて雲海の中を大型バスに揺られながら30分、榛名湖に到着。好天なら賑わっているだろうに、霧で何も見えず誰もいません。

 

気づいたら、私はバスに傘を忘れてしまったので動きが取れず、娘の小さな傘に身を寄せながら、まずはお店に入ってから先のことを考えることにしました。

 

店員さんから『いらっしゃいませ』と機嫌よく迎えられたのですが、帰りのバスの発車時刻を調べたところ、なんと、11:30分のバスに乗らないと、あとは2時間も次のバスがないことがわかり、その時すでに11:14分。すぐに店に事情を話して謝し、大慌てでバス停留所まで走って戻るという大騒動となりました。

 

そんなどさくさの真最中に『お母さん、私の気持ちに付き合ってくれてありがとう』と言われ、大慌てで彼女の顔を見るやいなや、2人して大笑いになりました。

 

やっと間に合った高崎行きのバスも乗客は3人。榛名湖から下山するバスは昼間なお暗い山道でした。それでも私たちは、断続的に込み上げてくる笑いに『面白くてたまんないね・・・』と言いながら、女学生の様に涙をこぼしながら何度も笑い合いました。

 

 

娘は幼い頃から、『お母さんは、私の嫌がることばっかりするんだから・・・』と、時々私に文句を言っていました。大人になってからはある時『お母さんは私のことをちゃんと見ていない。いつも他所を見ている』と言われたことがありました。残念なことに当時の私には、その真意が良く分かりませんでした。さすがに、このまま分からないままで良いわけはないと思い、マインドフルネス・セラピーを受ける決心をしました。

 

娘が求めていたのは、内面の「私のいのち」に気づいて・・・ということだったのです。当時の私も主人も自分の価値観でしか子供を見ていないで、子供の気持ちに耳を傾けるということが、ちっとも出来ていなかったのです。

 

つまり、子供の人格をきちんと認識して1人の存在として気持ちを大切にする心を育てる基本が、抜け落ちていたのです。

 

ただ、世間一般の合理的な基準(世間体や常識的な考え)を重んじ、社会に適応することだけが大事だと思い込んでいたのです。別な言葉で言えば、社会に出て困らないように、他人に迷惑をかけない人間に育てること、社会性だけをしつけることが子育てだと思っていたのです。

 

しかし娘は、合理性だけに偏った親の考え方に対して、社会に適応していれば良いだけじゃない。「人間らしく生きるとは?」「自分らしく生きるとは?」「本当の優しさって何?」という人間らしく生きる根源的な要求を、幼い頃から感覚的に訴え続けていたのです。

 

今回、霧の榛名湖での体験は、やっと親子の気持ちの隔たりが無くなったということなのでしょう。やっと自然で対等な人間どうしの関係が体の感覚として実感できたのです。

 

もし霧の榛名湖行きも、仕方ないからと表面的にしぶしぶ付き合っていたとしたら、いちいち文句が出ていたでしょう。そして、それらを口に出さなくてもその不機嫌さを娘は敏感に感じとって嫌な思いをしたことでしょう。

 

当たり前のように自分が正しいと思っている親たちの一方的で傲慢な気持ちに対して、娘は幼い時からはっきりと『それって変だよ・・・』『苦しいよ・・・』『やだ!』『やめて!』って言っていたのだと、はっきりと分かりました。

 

今回は、お互いの気持ちの壁が取り払われて、何も見えない湖も、店やバスや傘のことも全てが晴れ晴れと楽しく思えました。

 

共に困惑したり、急場を乗り越えようと無心で協力しあったことが、単純に愉快だったのです。「いのち」は四角四面ではないのです。

セラピスト 福田京子

 

 

 

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