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本当の自分を知る その4
感情の解放
ちょっとした違和感や、体の不調などをきっかけにして自分の内面に意識を向けてみると、気持ちを我慢していることに自分でもびっくりすることがあります。
先日の「心のワークショップ」でこんなことがありました。
A以前の私は、子供が好きなことをやっていてもお構い無しに、自分の都合で、買い物に誘っていたけれど、最近は、キリがついたら一緒に行こうと、自然に子供の気持ちを聞くようになってきました。
B Aさんって素敵なお母さんですね。そうやって気持ちを聞いてくれたら子どもは嬉しいよね。私の母は弁がたつ人で、いつも正しいことを言う人だから、私はいつも絶対に負けちゃうの。それに、私の気持ちには全く無関心だった。
C 弁が立つのね・・・・
B そう。母のいうことは、いつも正しいの。だから私は自分の気持ちより、母の言う正しい意見を優先してきた。それだと母は喜ぶし、万事がうまくいくの。
C 正しい意見優先を、いつ頃までやっていたの?
B 大学に入るまで。大学まで母は強かった。卒業したら、後はあんたの好きなようにしていいと言われたので、今は好きなことを仕事にしている。だけど、10代から、体に異変が起きていて、医者に行くと、ストレスだと言われている。
B そういえば子どもの頃、よく困っていた気がする。本当は好きなお絵描きしていたいのに、母がやってくると、母の正論には絶対かなわないから、母のいうとおりにしていた。反論はしなかった。だけど、私は本当は困っていた気がする。私…よく困っていたんだ・・・困っている感覚がはっきりある。
AとCとでBちゃんのお腹に『困った〜』『本当はお絵描きしていたかった〜』『子どもだけど、ちゃんと気持ちがあるよ!』と声かけしてみた。Cはうなずいている。この感じしっくりすると言いながら、ずっと涙をこぼしていた。涙が出なくなったら『そういう気もするけど、母の言う通りにしてきたから順調だった。という気持ちもある。』と、率直な気持ちをシェアしてくれた。
コメント
Cさんは現在、フリーランスで好きな仕事をやっているので、人間関係で困ることもなく、ストレスは何も無いと言っていましたが、幼い頃の母親との関係で、ずーっと困っていたということを、身体の感覚として今回初めて感じることができました。
本人にとっては『えーっ。』と思ってもいないことでした。幼少期から大学までCさんの「いのち」にとって、自分の気持ちの上にどーんと母親の正論がのしかかっていたことは、かなり重苦しかったに違いありません。どんな時にも、母親の理路整然とした正論には子どものCちゃんの気持ちはとてもかないません。自分の感情のほうを引っ込め凍結させてきたのです。
10代から身体に顕著な異変が現れたということは、無意識からの「いのち」の必死の訴えだったのではないでしょうか。本当の感情が出せない苦しさの訴えだったのではないでしょうか。
本当のCさんは、20年以上お母さんの価値観の支配下に黙って居続け、感情や感覚を抑えていたのです。世間的には安泰で良い結果が得られたかもしれませんが、Cさん自身の立場から言えば、無意識に自分の存在をないがしろにしてきたと言えるでしょう。人間にとって自分で自分の存在を無視するほど過酷なことはありません。感情をおさえ、感覚を鈍らせて生きることは、自分を殺しているのですから、「いのち」は『私を殺さないで!』と訴えて当然です。この「いのち」の声に耳を傾けていきましょう。
自分の「いのち」の声を聞くことは、親や周囲の人を責める方向ではありません。ましてや自分を責めることではないのです。ここに、自分を知る大きなポイントがあります。
セラピスト 福田京子