マインドフルネス・セラピー ぬくもり

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2019.10.04
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対立からは何も生まれん

最近読んだ本で、幻冬舎文庫「COTTON100%」というAKIRAさんの本のp247~259,OLD ORAIBIの章が心に響きました。以下、引用させていただきます。

 

<ポピ族の長老の言葉>

「わしにとっては、あんたも相当物好きなメッセンジャーだけどなっはっはっ。人間が生命の道にのっとった生き方を全うすると、カチーナになり、次の宇宙に移行できるんじゃ」

 

「輪廻から解脱するようなものですね。インドやチベットの神話とそっくり似てますよ」

 

「そりゃそうさ、すべての神話は同じ幹から枝分かれしているのじゃからな。ただ人間は、その知恵を必死で忘れようとしてるんじゃ。今のわしみたいになっはっはっ」

 

「だから形で残したんだね。エジプトのピラミッドとか、マヤのカレンダーとか、ホピの預言の石板に」

 

「恐ろしいことじゃ、ホピの預言は次々に的中しておる。第三世界が洪水で滅びた後の生き残りが我々のいる第四の世界なんじゃよ。そしてまた第四の世界が滅びる兆候として、鉄道や飛行機や電話やファックスの登場も預言されてた。でもまさか『灰の詰まったひょうたん』までが的中するとは」

 

「えっ、なんですかそれ?」

 

「あんたの国に落とされた原爆のことじゃ。預言ではこう言われておる。『ホピの大地を掘ってはいけない。そこからは灰の詰まったひょうたんがあらわれて、川をたぎらせ、地を焼きつくし、不治の病が人々をおおう』と。原爆に使われたプルトニュウムはホピの居留地のウラン鉱から白人が無理やり発掘したものじゃ」

 

「やっぱり人類は滅亡しちゃうの?」

 

「近いうち浄化の日はやってくる。宇宙だって生き物だ。自分の生命を助けるものには恵と慈愛を、おびやかす者には罰と破滅を与える」

 

「そうだ、みんなみんな死んじゃえばいいんだ!」

 

「思い上がるな。そう言うことは簡単じゃ。そして今ではボタン一つで、そうすることも簡単じゃ。じゃがな、あんたたちのジェネレーションは世界の終わりを見届けるために生まれてきたんじゃない。世界の始まりを描き出すために生まれてきたんじゃ。我々がネガティブなエゴで犯してきたあやまちを反転させるのじゃ。

エゴこそ力だ。創造主タイオアが一人一人を違った人に作られたのは、我々を戦わせるためではない。愛し合わせるためなのじゃ。欠けているところを補い合い、より高い存在へと人間を導くためにエゴは与えられたんじゃ。

対立からは何も生まれん。自分と違うというだけで、相手を全部否定してしまう。違いから学べることが真の勇気じゃ。わしのような敗北者がこんなこと言うのも変じゃが、わしは白人を恨んではおらん。彼らはわしらインディアンの心に深いトゲを刺したが、彼らも彼らで心に棘を刺しておる。わしらには自分のトゲも、彼らのトゲも抜いてやることができなかった。刺されたら差し返すと言うのは呪われた蛇の循環じゃ。

我々は祝福された蛇の循環『ROADO OF RIFE』に戻らねばいかん。ホピの祭りは宇宙的生命の法則を形にしたものなんじゃ。それは厳密に定められており、あんたたちが言う“アーチストの独創”なんて入り込む余地はないんじゃよ。神が伝えた伝統と人が作った因習を、混同してはいけないよ。真の創造は神の仕事じゃ。人間はそのメッセージを受け取って、形にするのが仕事じゃよ。

創造主からのメッセージには説明できない確信がある。因習や自分の欲から発せられたメッセージでは、何か不安がつきまとう。わしはもうその不安にもう耐えきれん。子供の頃から精霊の声に従ってカチーナを掘り続けてきた。だが、急に精霊の声が聞こえなくなった。わしは耳を失ってしまったんじゃ」

(以下省略)

 

<感想>

特に長老の、思い上がるな。からの言葉の一つ一つに気迫が感じられ、魂に響いてきました。

 

『対立からは何も生まれん。』本当にそのとおりです。日々の生活の家族という最小の単位でさえ、絶えず対立が生まれ、一番大切な人の心にトゲを刺してしまうことがあります。『違いから学べることが、真の勇気じゃ』心にしみます。

違いから学ぶことは、そこに共感があるということです。お互いを尊重しあっていなければできないことです。

 

現代に生きる私たちは、思考からの判断、自分に都合の良い解釈で作り上げてきた価値観や世界観を守り、広げることばかりに余念がありません。これが真実だと思い込んでいます。それしか知らないでいます。そして「〜こうあるべき」というストーリーの中に自分も周囲の人も、はめ込もうとして苦しんでいます。まさか自分が、思考のカラクリにきゅうきゅうとしているなんて夢にも思わずに過ごしていますが、私たちは困難に遭遇した時、困難の持つ「生々しさ」に耳を傾けて行くなら、このカラクリの硬い殻を打ち破って、周囲の問題に振り回されずに、互いの苦しみに素直に気づくことができるのです。

 

思考から柔軟な気づきへ乗り換えていかなければ、このインディアンの長老の言っている言葉の真意を掴むことは、難しいでしょう。本当は、エゴの持つエネルギーは、反転させて行くパワーにもなって行くのです。

 

今、世界中のあちらこちらで対立し、緊張しています。個々人の中も、頭の思考とお腹の感覚とが、対立しています。対立のままでは、相手を打ち負かすことだけの偏った考え方に陥ってしまい、お互いが破滅の道になってしまいます。

セラピスト 福田京子

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