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感じる その2 <セッション記録から>
Yさんのセッションから
『両親は昨日も、いつものように言い争いをしていた。』『以前の自分は、これがとても怖くてたまらず、やめてもらいたいと思って、色々やってきた。子供の頃には、親の言う通りにしていれば、大丈夫なのだろうと思って、親の言う通りにしていた。』『親の顔色をいつも気にしていた。』『いつの間にか、親だけでなく周囲の人の言動まで全て気になって人が怖くなってしまった。』
『昨日、両親の喧嘩を見ていて、はっきり気づいたことがある。』『以前は、自分に意識が全然向いていなかったが、今は自分に意識が向いている。』『すごく敏感になっていたと思っていたが、実は怖さのあまり、恐怖を回避しようと慌てふためいていただけで、身体として何にも感じていなかった』
『自分に意識が向いていると、落ち着いて居られる。』『周囲や相手の状態が、実によく見えている』『幼い頃から両親の否定の応酬が怖くて、ただ怯えていたということが、手に取るように理解できた』『今、やっと自分は何が嫌なのかが、はっきりと分かった』『今、ようやく「感じる」ことができるようになって、こんがらがっていたものがほどけてきた。』
『両親は、自分の主張だけを通そうとしているだけで、相手の言っていることを、少しも聞いていない。』『ただ言い負かそうと必死なだけだ。これは相手の心を傷つけ、脅かしあっているだけだ。』
『両親とも、自分に意識が向いていない。』『自分自身を全く感じていない。』『これじゃ子供の存在だって、全く感じていない。』『私はずっと、存在の無視をされていることに、子供の頃から腹を立てていたのだ』『今、感じることができる様になったら、両親の言い争いに対して、以前のような怖さはない。』『巻き込まれないという自信ができている。』『今は、両親の言動をただ静かに眺めていられる』『自分には人に振り回されない道がある。』
【コメント】
Yさんの言葉にあるように、頭が鎮まってくると「感じる」ことができるので、何が起きても落ち着いていられるのです。「感じる」ということは、内面の深い気持ち、本来の自分の気持ちが働き始めていることです。無意識の中で眠っていた本来の自分が目を覚まして、自分らしく生きようと背筋を伸ばしている状態と言えるでしょう。
この状態とは逆に、怒りを激しく出している人も、怖さを激しく感じている人も、これは身体では何も感じていないのです。身をもって感じていないから、人に恐怖を与えたり、困らせたり、一人で怯えているのです。これは頭が恐怖で混乱して大騒ぎをしているだけで、自分の意識と身体とが離れている状態です。恐怖の記憶が頭を強烈に緊張させてしまうので、頭と身体はバラバラです。頭の緊張が緩んでから表層の筋肉が緩み、初めて身体の中の深い感覚が自動的に働き始めるのです。頭の緊張が緩むことなしには「感じる」ことはできないのです。
頭の反応と身体で「感じている」のとは全然違うものです。マインドフルネス・セラピーは、頭の緊張や混乱を鎮め、「感じる力」を養い育てていくことです。
感じられるようになるには、まずマインドフルネスになって、自分の体に意識を向けていくことから、始めていきましょう。繰り返し体験していく中から徐々に身についていきます。
福田 京子