マインドフルネス・セラピー ぬくもり

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2020.04.03
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自分を知る その6   

 

心の3層構造

 

東洋思想では、心は3つの層からなっていると捉えています。私が行っているマインドフルネス・セラピーも、感情を腹に落として身体感覚として感じていきます。

 

❶表面層   心(こころ)     頭     思考・意識

 

❷中間層   心(おもい)     胸     感情・潜在意識

 

❸深層    心(しん)      腹     無意識・感覚・存在

 

普段私たちが自分と思っているのは、❶の意識であり、思考であり知識として外から取り入れたものです。人からの評価や人との比較から、自分とはこういう人物なのではと思っています。目に見える現象のみで判断していますから、些細なことで落ち込んだり、有頂天になったりします。

 

本当の自分というのは、❸のお腹で感じている身体感覚です。他人の言葉に左右されていない自分のお腹の揺るぎない感覚です。この感じは、自分も周囲の人も諸々の出来事も、ありのままにはっきり見えている状態です。本当の姿を直視している状態のことです。

 

不安や恐怖は、状況や相手がきちんと見えていれば、増大しないのですが、怖さから目を背け、背を向けていると、増大するのです。

 

心の眼をしっかり見開いて、何事も見極めていくなら、いま、自分は何をしたらいいのかが分かってきます。

 

では、どうやってというと、感情❷を手掛かりにして、とことん感じていくのです。ネガティブな感情が大事な鍵を握っております。この鍵がないと深層の無意識の扉を開けるのは困難です。ネガティブに留まることは、老若男女誰にとっても困難なことです。だからこそ、他の人に寄り添ってもらう必要があるのです。

 

私たちは、ネガティヴな感情を実感を伴って感じておりません。辛い体験ほど、蓋をしたまま身体の奥深く押し込めています。頭でしっかりと言い聞かせ、眠らせて保管しています。これならとりあえず平穏ですが、このままでは、本当の自分も眠っていますから出会うことができません。眠っている感情を目覚めさせるところから始めなければなりません。

 

まずは、❷の感情を肯定してもらう体験を重ねて行くのです。全肯定の体験が何より大切です。自分の存在がどれほど全きものかが、感覚として身体の芯から感じられてくるまで、なんども繰り返して感じていくのです。存在への全面肯定によって安心が芽生えてくれば、おのずから心身の緊張が緩んできます。

 

やがて無意識から本来の自分が活き活きと蘇ってきます。これは、体験しないとわからない世界です。

 

次元が違うというのは、❶から❸への移行のことで、身体感覚が導いてくれない限り感じ取れない世界です。頭に入力されている知識やデータから出てくるものではなく、身体の深いところから湧き上がってくる感覚です。何より顕著なのは、身体が温かくなって、『ああ〜そうそう・・・』と、爽快さと懐かしさと静かな喜びが広がってくる体感です。

 

 

「頭にくる

という言葉があります。これは❷で感じたネガティヴな感情を頭❶で捉えてしまう状態です。特徴としては、相手のせいにしたくなることです。相手に感情をぶつけたくなる衝動が起きてきます。我が身を守ろうと相手を攻撃することもあります。人の言葉を聞き入れる余裕がありません。この状態は、自分も苦しいし、周りの人間を非常に苦しめます。自分の存在を見失っている状態ですから、自他ともに追い詰めて行くだけで、心の成長にはなっていきません。

 

「腑に落ちる」

という言葉もあります。

ネガティヴな感情から逃げないで、辛さを感じて行くと、無意識と繋がり、そのことが、どんなに嫌だったのかがありありと感じられてきます。激しいものが出てくることもあるので、一人では難しいでしょう。誰でも寄り添えるものではありませんが、腹の据わっている人となら、どんなに深い悲しみや憎しみが出てきても、恐れることはありません。

 

とことん感じ抜き、蓋をして抑圧されていた感情が解放された後には、必ず、なんとも言えない静けさが戻ってきます。単なる感情の解放だけで終わりではないのです。本命は、嵐の後の静寂です。厳しい状況がはっきりと実感でき、その中を生き抜いてきた自分が一段と愛おしく感じられることでしょう。

ここにきて初めて、自分の身体の奥から湧き上がってきた言葉が、あらためて、しっくりと腑に落ちてくるのです。

 

身体が眠っていては、いま自分が何を感じているのか全く分かりませんから、腹の感覚は育っていきません。本当の自分になるということは、身体感覚を敏感にして行くことです。そこで私は、身体への働きかけを大切にしております。

 

身体的に腹と腰がしっかりと整っていなければ、せっかくお腹の感覚として湧き出た感覚も、「絵に描いた餅」で終わってしまうのです。身体の中心である背骨の柔軟性を取り戻していかないと、お腹からの気づきも時間とともに頭の理解の方に吸収されてしまうのです。精神性とともに腹と腰の身体性を嵩めていくことが、非常に重要だと実感しております。

 

セラピスト 福田 京子

 

 

 

 

 

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