マインドフルネス・セラピー ぬくもり

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2019.08.24
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「思い込み」を手放す(その2)

 ある方との電話セッションの中で、マインドフルネスになっていたら、いたわりの言葉をかけて欲しいとの注文がありました。そこで『よく頑張ったね〜』と声をかけましたら、『嬉しい!』『ホッとする!』『だけど、こそばゆいような、恥ずかしい気持ちが出てきた・・・』とのことでした。

 恥ずかしい気持ちがあるというので、その感覚にとどまっていただきました。

 しばらくしてから、このこそばゆさは、母と一緒にいる時に感じていたものと同じ感じがする、とのことでした。

 さらに感覚にとどまっていると、母と二人で居る時の、なんともいえないバツの悪い出来事が蘇ってきました。さらに感じていくと、『あっ。私は母親に甘えたかったんだ』と、ポンと本音が出てきました。

 そこで、母に甘えるワークをやってみましょう。ということになり、電話でもできることを試みていきました。

 二人の感覚は見事です。臨場感を伴って感じられてきました。

 Sさんは、涙がとめどなく流れ、今まで一度も母に甘えた体験がなかったけれど、初めて、母親の温もりが感じられたそうです。その感覚は、受話器からも十分に伝わってきました。私の気持ちの奥の方からもSさんへの愛おしさが溢れでてきました。『母さんは、いつも忙しい、忙しいばっかりだったね〜。Sとこうして、ゆっくり過ごしたことがなかったね〜』『今、こうして、Sが甘えてくれて、嬉しいよ〜』『S! 生まれてきてくれて有難うね!』『あなたの温もりが嬉しいよ!』と、そばに居るのと同じように、身を以て共感することができました。

 Sさんは、ふっと気づきます。『私はもう、取り繕って生きていきたくない』『ずーっと、自分を取り繕って、無難な人を演じてきたけれど、もうこういう生き方はしたくない!』この言葉をかけて欲しいと言われるので、Sさんのお腹に向かって『もう取り繕いたくない』と、声をかけしました。それは、Sさんのからだの奥深くに染み入って、『そうだ!』と深く感じられたとのことでした。Sさんは自分の「いのち」に出会い、「いのち」の願いに耳を傾けたら、他人の判断や評価を気にしないで、本当の自分として堂々と生きていきたいと思っていることが、はっきり分かったのです。

コメント
 Sさんは、親や、祖父母からは厳しく躾けられ、学校にいけば先生からもよく叱られて居たのだそうです。物心着いてから、褒められて嬉しいと感じたことも、気持ちを受け止めてもらった体験も無かったのです。こういう環境の中で生き抜くには、自分の存在を無いことにし、感覚を無視し、社会人になってからは、表面を取り繕って生きるしか方法がなかったのです。この苦しさは生易しいものではありません。Sさんは今、定期的に電話セッションを受けておられます。
 
 Sさんは、自分がこんなに母親に甘えたかったなんて、思ってもいなかったそうで、子供の頃から自分は居ないほうがいいと思い込んで居たのです。今回の体験で、母親が、自分のことを受け入れてくれているのが感じられ、母親も自分が甘えることを嬉しいと思ってくれていたのが何より嬉しい!驚いた!とシェアしてくださいました。この嬉しさは、自分の存在が承認された嬉しさなのです。人間にとって、自分の存在が認められ尊重されることほど嬉しいことはないのです。このことは生き物にとっての基本中の基本なのですから。自分が、人に喜んで迎えられているという実感こそが、自己信頼感の第一歩です。
  福田京子

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