マインドフルネス・セラピー ぬくもり

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2019.06.14
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温もり

 かれこれ25年前になるでしょうか、当時94歳の夫の叔母が危篤状態と聞いたのですぐに駆けつけ、枕辺で『京子ですよ』と声をかけました。すると、しばらく間があってから『愛してるよ!』という言葉かかえってきました。この時の驚きと感動は、今でも忘れることができません。

 この叔母は、実家の嫁として私のことを大切にしてくれました。結婚の1年前に母を亡くし、何かにつけて悲しんでいる私を、盾となって隠に陽に支えてくれていたのです。
 叔母との思い出はたくさんありますが、寒いときに自転車で伺った時、『こんなに冷たい手をして、よくきてくれたね』と行って、私の両手を懐に入れて温めてくれたこともありました。今でも思い出すと懐の温もりが蘇ってきます。今でも辛い時、叔母の温もりは私の心の灯火となって、支えてくれています。

 血のつながりはなくても、辛いときに優しく言葉をかけてもらったり、手を握ってもらうことは、すごく嬉しいものです。丸ごと自分を大事にされて居る感じがして、元気が出てきます。温もりは、安心が生まれてくる母体だと思っています。この安心が身体感覚として感じられて初めて、人を信頼する気持ちや、共感する気持ちが生まれてくると実感しています。この微妙な感覚は根源的なもので、生き抜くための基本であると思っています。

 セッションを通して感じるのは、現代は温もりを感じにくくなって居るということです。『親は物質的なものは何でも与えてくれたけれど、いつも、こんなんじゃない!とおもっていた。』『私が求めていたのは、今のままでいいんだよと、温かく認めてくれる眼差し、受け止めてもらって居る実感なんです・・・』という方が多くおられます。

 私は悲しい時や辛い時に、周囲の人々から温もりを頂戴して来ました。これを私だけのものとして、そのままにして終わりにしたくないのです。一つの出会いがまた次の出会いとなって結ばれ、波のように繋がって広がって行って欲しいのです。「いのちのバトン」として温もりを手渡しして行きたいのです。私にとってのマインドフルネスは難しいことでも、特別なことでもないのです。それは、身体の奥にポットともる灯火のようなもの、と言えるかもしれません。そして、この灯火が信頼の輪となって静かに広がっていき、また次の人へと優しく伝播して行くことを願って居るのです。

                               福田京子

 

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