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2021.06.06
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55年ぶりの感情と向き合って分かったこと

 

私には、半世紀以上も心の奥にしまい込んでいた苦々しい記憶があります。それが最近ヒョッコリと顔を出しました。自分の恥の体験なので、誰にも話したことがなかったものです。でも長い間、苦い思い出として保存されているのには、きっと訳があるに違いないと思って、ゾワゾワしながらその出来事に意識を集中していきました。

 

すると不思議、私の内面世界がどんどん広がって、思いも掛けない感動の展開となっていきました。

 

この事が起きる1年前に、私は大好きな母親(46歳)と死別しているのです。この苦い出来事は、その悲しさが癒えていない時、私の結婚式の後に起きたことでした。婚家の人々は、いつまでもメソメソしていないで、早く気持ちを切り替えなさい、といったものでしたが、後ろ盾を失ったまま、昔風で旧式な家に嫁いだ私の気持ちは、本当は寂しくて悲しくてやりきれなかったのです。・・・

 

今回しみじみと『本当に悲しかったね!』『お母さんに、私の花嫁姿を見てもらえなかったことが、残念だったんだよね!』と、長年埋もれていた本当の気持ちに光をあて、その時の自分を優しく抱きしめてあげました。

 

 

母は昭和15年に結婚したのですが、当時は軍人との結婚が花形だったそうで、母には意中の人がいたのですが、軍人ではないその人との結婚を諦めて、一度も会ったことのない軍人の私の父と結婚をしたのでした。

 

私の父は、朗らかな人でしたが、人の気持ちを優しく思いやるタイプではありませんでしたから、私の目からは、母は随分とがっかりさせられる事が多かったのだろう・・・心の部分を我慢しながら生きているなぁ・・・と思っていました。だから私は幼い頃から、母が我慢のままで一生を終わってほしくない、母を助けたいと、漠然と、そんな風に思っていた気がいたします。

 

私は23歳で、母に優しくできないまま、わがままの最中に死別してしまったわけですから、想像以上に落胆していたのです。

 

今回、母のことが思い出されたので、2歳下の妹に会って、久しぶりに母の思い出話をしていた時、大きなことに気がつきました。

 

母は、死ぬ前に母方の古い親戚の人から、結婚を諦めた意中の人の消息を教えられ、その親戚の人の導きで、20年ぶりにその方と再会をすることができたのでした。母と共に私も妹も、その方の家に伺ったこともありました。当時私も妹も、母の再会の件には、『ふーん。そうなんだ』ぐらいで、何にも特別な感情はありませんでしたが、この度、このことを思い出した時、『あっ、お母さんは、我慢だけの人ではなかった!』『意中の人と再会を果たしたんだ!』『ああ、良かった〜』と、とっても嬉しい気持ちがこみ上げてきて、涙がこぼれてなりませんでした。

 

母の勇気と相手の方の勇気に、心から感動したのです。母も、その方も、お互いに別々の人生を歩み、命がけの苦労もたくさんしてきただろうけれど、それらを全部肯定し、自分の人生も、相手の人生も尊重しているからこそ、堂々と再会することができたのだ、という思いが湧き上がってきたのです。二人だけで会うのではなく、お互いの家族を紹介し合い、認め合って自分の人生を豊かにして行こうとしていた矢先に、母は命尽きてしまったのだということが、はっきりと感じられました。

 

これって凄い!どんなことがあっても、丸ごと自分の人生を肯定して行く勇気を、母は私たちに毅然として見せてくれたのだと思いました。もちろん、意識的にやったことではないけれど、これこそ母の「いのち」からの大事なメッセージだったにちがいないと、素直にそう確信できました。

 

戦争という理不尽なことに巻き込まれ、何一つ思い通りにはいかない人生を、丸ごとひっさげて、再会に踏み切っていく母の心の強さに頭が下がりました。

 

 

人間の心の奥には、自分の本当の気持ち「いのち」というものが宿っていて、お互いが対等な関係で、それを尊重し合って生きていきたいという、切なる願いがあります。そしてその「いのち」の願いは感覚を通して、常に人を幸せに導いてくれているものです。

 

私は今、一人一人の中に宿っている「いのち」に寄り添って、その声に耳を傾けて行く仕事をしています。まさにこれこそ、母からの熱いメッセージを具体的な形として実践しているのだと思えた瞬間、言葉にならない喜びが怒濤のように溢れてきました。

 

母を助けたいと思っていたことは、正に、目には見えないこのことなのだと合点がいきました。母のメッセージをちゃんとキャッチできたという、確かな手応えがありました。

 

人には言えないようなネガティヴな思い出だと思っていたことでしたが、きちんと向き合ってみたら、ネガティヴでおわっていないのです。私たちはこうして、何世代にもわたって、大切なメッセージを手渡し続けていく存在なのだと

素直にそう思いました。

 

セラピスト 福田京子

 

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